自ら進んで勉強する子に変貌する簡単な方法
小学生の子どもが勉強をやりたがらず困っている。子どもが自ら進んで勉強するようにするために、親はどうしたら良いのか?
こんな悩みを持つ親御さんは多いのではないでしょうか?
この記事では、自ら進んで勉強する子に変貌する簡単な方法についてご説明します。
また、世の中で「魔法の方法」と呼ばれている習慣化という方法の問題点についてもご説明しているので、ぜひ最後までお読みください!
この記事は、以下の記事を参考にしています。関心のある方はぜひご覧ください。
引用・転載元:
船津洋『「できない子」を「できる子」に変える方法』(株式会社 児童英語研究所、2022年)
習慣化は魔法の方法か?
子どもが自ら学ぼうとしない、こうした悩みに対して、魔法の方法と称して、良く語られている方法があります。
それが、「習慣化」です。
多くの場合、習慣化のために推奨されているのが、
- 日々の生活の一部に組み込むこと
- シールなどを使った見える化をすること
です。
日常の生活に組み込む方法
日常の生活に組み込む方法としては、すでに習慣化しているものとの組み合わせがあります。
簡単なのは食事です。
食事の前後というのは、きっかけとしてとても分かりやすいと思います。
実際、食事の後に、ささっと片付けてポータブルキーボードでピアノを練習させている、というご家庭もありました。
シールを使った見える化
もう一つのシールなどを使った見える化をすること、も分かりやすい取り組みです。
子どもにとってはシールを貼りたいという気持ちが取り組みを継続していくモチベーションになるでしょうし、見える化されているので、継続性が一目で分かるのも楽しいでしょう。
実際、こうした取り組みは、さまざまな形で実践されていると思います。
魔法のやり方の問題は、習慣化=自ら学ぶ子と考えていること
さて、この取り組みに何か問題があるでしょうか?
端的に言えば、この取り組みの問題は、学習そのものに対する興味関心を育てるものではないという点です。
習慣化することはとても大事です。
しかし、習慣化は手段であって目的ではありません。問題は、習慣化の取り組みに目的がないことなんです。
そらに良くないのは、習慣化すること=自ら進んで勉強する子と考えていることです。これが大きな間違いなのです。
子どものできた!が大事
端的に結論を言いますと、習慣化によって達成したいのは、子どもの「できた!」という自信です。
この自信が、次のステップへのモチベーションとなり、やらされているのではなく、自らその練習へと向かうようになるのです。
単に言われたことをこなしていく課題には思考がない
この点について、船津洋先生は、
単に言われたこと、あるいは与えられた課題をこなしていく過程には(レベル別ドリルの場合)思考の余地がありません。
(略)
毎日頑張って勉強しても、一向に成果が上がらない。確かに参考書にもドリルにもせっせと取り組んでいる。しかし、私の知る限りにおいて、一向に成果が上がらないケースも少なくないのです。
ここでのキーワードは「思考」です。
先ほどの習慣化の話は、子どもにとっては、進んでやりたいことではありません。やることを、なかば強制されているだけのことです。
そこには、何かを達成しようという目的意識や、何かを克服しようという課題意識はありません。
さらには、子どもが自ら学びたいと思えるような興味や関心の対象となるものがありません。
これが思考がない、ということが問題点です。
思考のない習慣化はあまりに切ない
思考がない中で習慣化したところで、子どもが自ら学ひたいと思うことはありません。
シール化に至ってはもっと酷い話で、目的や課題、興味な関心のないことについて習慣化するための単なるツールでしかありません。
これではあまりにも切ないというべきでしょう。
つまり、習慣化することは、自ら進んで学ぶ子どもにする方法でも魔法の方法でもなんでもないということになります。
習慣化による効果として、主体的に学習する姿勢が身につけば、自ら考えて行動できるようになるはずだと言う人もいますが、今までの説明からすれば、全く逆だということが分かります。
自ら考えて行動できるから、主体的な学習する姿勢が身につく
つまり、自ら考えて行動できるようになることで、主体的に学習する姿勢が身につくということです。
では、自ら考えた行動でからようになること、つまり「思考」できるようにのためにはどうしたら良いでしょうか?
思考を持たせるキーワードはターゲット
まず、思考がないことの問題について、船津先生は、
本能レベル、勘のレベルの能力の獲得には「経験」の「インプット」で十分でしたが、より高いレベルの運用能力を習得するには単なる「経験」の量を増やすだけの「インプット」では不十分です。がむしゃらに泳いでも、無我夢中で滑っても、無心に喋りまくっても、あるいはひたすら計算問題を解いても、次のレベルへは進めません。
と言っています。無我夢中に、ひたすらに取り組んでも、成果が現れないということです、
これはなぜでしょうか。
いくら指導を受けても、本人が「考え」てくれないことにはなかなか上達しません。言われたことをやっているだけでは足りないのです。
そうです。本人が考える、というプロセスが入ってこなければならないのです。
では、本人が考えららるようになるにはどうしたらよいのでしょうか。
それは、本人のことをよく知っている人が、目的な課題を解決するよう、本人に興味関心を持たせつつ取り組ませることが必要になってきます。
この点については、船津先生は「ターゲット」という言葉を使っています。
こなターゲットはとても重要で、これがあるから、「できない自分」と「できない自分」の間の境界線が認識できるのです。
舩津先生の言葉を引用すると、
思考を介在させた練習には、ひとつの特徴としてターゲットがはっきりしている点が挙げられます。演奏であればひとつのフレーズ、スポーツであればひとつの技術を “やっつけ” ること、つまり身につけることが当面のゴールで、そのゴールに到達すると、そこには「できなかった過去」とは違った「できるようになった自分」がいるのです。
ということなります。
このプロセスで大事なことは、「できるようになった自分がいる」ということです。
この経験が、子どもにとって自信となり、そして次の課題に取り組むモチバージョンとなってきます。
この好循環に入ることで、日々の取り組みは「結果として」習慣化していきます。
まさに自ら学ぶ子になっていくわけです。
思考のない習慣化と思考のある習慣化の大きな違い
もし習慣化できたとしても、思考のない習慣化と思考の結果として習慣化を身につけた場合とでは、子どもが得られる結果、成果が大きく変わることにお気づきいただけるでしょうか。
学びの深さが全く違う
かたや、ただ与えられた課題を習慣として取り組んでいる子どもと、自らの興味関心と目的課題感から取り組んでいる子どもでは学びの深さが全く違います。
自ら学ぶ子にとっては、学びのゴールはないわけです。
分からなかったことが分かるようになる。それがモチベーションとなって、分からないことをさらに知りたいと思い、自ら深く深く学んでいってしまう。
こんな好循環に入って行ったらいいと思いませんか?
自らの学びを進めた先に到達するレベルは次元が違う
かたや、ドリル学習を習慣化されて、小学校入学前までに、小学生1年生の漢字を先取りする子どもがいたとします。
これはこれで、すごいね、頑張ったねという話だと思います。
かたや、読書がとても好きで、漢字て読める本を増やしたいから、小学生の漢字ドリルの「読み」ばかりやっていた。おかげで読める本が増えるから、ますます漢字ドリルが楽しくなってきて、読みだけは小学校3年生までやってしまったという子どもがいたとします。
これもすごいはすごいと思うのですが、もう次元が違うという気がします。
最後に
最後にまとめますと、
習慣化=自ら学ぶ子と考える人が多いように思いますが、違います。
習慣化には目的や課題感がありません。つまり「思考」が存在しないので、達成感も興味関心を満足させるというプロセスもありません。
子どもの「学びたい」というモチベーションもないので、たいした成果につながらないということです。
ぜひ、子どもに思考の機会を与えて、できた!分かった!やった!という経験をさせて、自ら学ぶことのできる子どもにしてあげてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。